男ならいつかは背負ってみたい!魅力の和彫り図柄10選
刺青、それも和彫りといえばどんな印象を受けるでしょうか?
一般的な感情で言えば、「怖い」「何か特殊な職業」など、ネガティブなイメージが大きいかもしれません。
しかし、和彫りの文化が大きく花咲いた江戸時代では、彫り物というものは武士という大きな権力に対抗する町民たちの勇気と生き様の証でした。
痛みとお金をかけてまで自身の体に墨を入れる。切腹を許されていなかった町民にとって、彫り物は自己の心意気と気合をみせる一種のステイタスだったのです。
そんな町民たちの体に彫られる図柄は、その時代に流行した水滸伝や歌舞伎の物語の登場人物や歴史上の人物でした。
人々は憧れを抱きつつ、それぞれの絵柄を己の背中に刻みこんでいたのです。
今回は「男なら背負ってみたい魅力の和彫り図柄」ということで、私が個人的にチョイスした和彫りの図柄を紹介したいと思います。
九紋竜史進
ご存知水滸伝の九紋竜史進。体に9つの龍を彫っているので、九紋龍と言われます。画像は河竹黙阿弥による芝居「水滸伝雪桃(すいこでんゆきのだんまり)」のワンシーン。
このように、刺青を背負っている登場人物を彫ることは二重彫りと呼ばれます。
九紋龍魯智深 揚洲周延筆
花和尚魯智深
花和尚魯智深も、水滸伝の有名な豪傑の一人。花を彫っているので花和尚。わかりやすいですね。この花は、最初は花海棠とよばれる花だったそうですが、後に桜吹雪として描かれることが多くなったようです。
花和尚魯知深
通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯智深 歌川国芳筆
浪裏白跳張順
水滸伝の豪傑108人の一人。水泳の達人と言われています。刺青は大蛇。
画像は有名な水門破りのシーン。張順が水門を破ったことによって、味方は勝利を納めることができます。
通俗水滸伝豪傑百八人之一人 浪裏白跳張順 歌川国芳筆
旱地忽律朱貴
水滸伝の、梁山泊の入口付近にある居酒屋の主人である朱貴。物語の中では、すらっと背が高くヒゲをたくわえたしゃれ者という感じで描かれています。背中に彫られている絵柄は狐とも狼とも言われています。
通俗水滸伝豪傑百八人之一人 旱地忽律朱貴 歌川国芳筆
弁天小僧
青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなの にしきえ)という歌舞伎の登場人物の一人。女装の美男子で盗賊。
武家娘に変装して呉服屋・浜松屋に現れ、ゆすりを働く。
鬼若丸
鬼若丸とは、武蔵坊弁慶の幼名。母の胎内に18ヶ月もいて、生まれたときには2,3歳の子供のように見えたというほど。
鯉退治の図柄が有名
坂田怪童丸
坂田怪童丸は源頼光の四天王の一人である、坂田金時(公時)の幼名。足柄山の金太郎とも。
マサカリと担いだ赤い体で描かれることが多い。
昔は刺青の赤い色は朱銀が使われていたため、赤い色を使った刺青を入れるのには通常よりも熱を持ったりと大変な苦労を強いられた。
なので、朱を多く使った怪童丸の刺青を入れたものは「我慢強い」「気丈もの」とされたといいます。
天竺徳兵衛
天竺徳兵衛はガマの妖術を使う船頭。歌舞伎や浄瑠璃などでよく上演された物語の主人公だが、細かいストーリーは物語の筆者によって異なる。
大筋の物語は、高麗の臣の息子でガマの妖術使いである天竺徳兵衛が日本転覆を企むが、最後には術が破れて自滅するというストーリー。
他にもガマの妖術を使う人物として、児雷也(自来也)がいる。
(児雷也はガマの妖術を使い悪を懲らしめる義賊として描かれる。児雷也・綱手姫・大蛇丸の三人で三すくみと呼ばれ、この3つの図柄を体に入れたものは呪われるとも。高木彬光の推理小説・・刺青殺人事件
はこの話を主題にして書かれている)
龍王太郎
龍王太郎(竜王太郎とも)は、式亭小三馬による物語「龍王太郎英雄譚」の主人公。
和田津三郎と竜の化身である美しい女・桂の間に生まれる。鏡を持って両親の敵討ちをするシーンは有名で、よく和彫りにも彫られます。
和漢英雄傳 龍王太郎 歌川国輝筆
滝夜叉姫
平将門の娘という設定の滝夜叉姫。
仙人から伝授されたガマの妖術とその美貌を駆使して、父である平将門の無念をはらそうとする。
こうやってみると、歌川国芳の作品が多く見られますね。
さすが、和彫りは国芳から始まると言われるほどのものだと思います。
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