江戸期の浮世絵に学ぶ背景グラデーションの使い方
「グラデーションは使い方が難しい」と感じるのは私だけでしょうか。
特に、背景のような大きな部分に使われるグラデーションは、一つ間違えるとサイト全体のイメージを安っぽくしてしまったり、元々イメージしていたサイトデザインを大きく外してしまったりと、マイナス方向に振れる事がよくあります。
しかし、その反面、グラデーションを巧みに使いこなせると、何とも言えない深みや立体的な奥行き、さらには、単色ではなかなか得られない臨場感を見ている人に与える事が出来ます。
では、どうすれば、上手にグラデーションを使いこなせるのか?
私には、その明確な方法は分かりませんが、迷った時には必ず、過去の優れた作品を参考にするようにしています。
という事で今回は、そのグラデーションで迷った時の参考になる、「背景のグラデーションが美しい浮世絵」を集めてみました。
何かしら、デザインの参考になれば嬉しく思います。
※グラデーションのカラーは、私の独断で選んでいます。あくまでも、絵を見た雰囲気で色をチョイスしていますのでご了承下さい。また、色名、色コードに関しては、「日本の伝統色 和色大辞典」を参照しています。
歌川広重 亀戸梅屋敷
深緋(こきひ)のようなキツめの赤から、砂色(すないろ)のようなベージュ色へのグラデーション。強い印象を与えがちな赤ベースなのに、凄く柔らかみを感じさせます。
グラデーション
■深緋(こきひ)
■#c9171e
■赤丹(あかに)
■#ce5242
■砂色(すないろ)
■#dcd3b2
葛飾北斎 百物語 さらやし記
上部の瑠璃色(るりいろ)から下に向かうにつれて、漆黒に変化するグラデーション。背景を凄く遠くに感じさせます。
グラデーション
■瑠璃色(るりいろ)
■#1e50a2
■紺青(こんじょう)
■#192f60
■漆黒(しっこく)
■#0d0015
歌川広重 京都名所之内 淀川
いわゆる広重ブルーが全面にある、瑠璃紺(るりこん)から象牙色(ぞうげいろ)に移るグラデーション。川面にもグラデーションが使われていて、非常にキレイですね。
グラデーション
■瑠璃紺(るりこん)
■#19448e
■露草色(つゆくさいろ)
■#38a1db
■象牙色(ぞうげいろ)
■#f8f4e6
歌川国芳 そめいろづくし
朱色から肌色へのグラデーション。幻想的で鮮やかな色使いです。
グラデーション
■朱色(しゅいろ)
■#eb6101
■赤香(あかこう)
■#f6b894
■肌色(はだいろ)
■#fce2c4
歌川国芳 駒形の朝霧
白橡(しろつるばみ)から老竹色という非常に渋めなグラデーション。シックでレトロなデザインにも使えそうですね。
グラデーション
■白橡(しろつるばみ)
■#cbb994
■山葵色(わさびいろ)
■#a8bf93
■老竹色(おいたけいろ)
■#769164
葛飾北斎 東海道坂ノ下清滝くわんおん
苗色(なえいろ)と薄緑から、白鼠(しろねず)というグレーへのグラデーション。このような色調が大きく違う色のグラデーションでも意外に合うんですね。
グラデーション
■苗色(なえいろ)
■#b0ca71
■白緑(びゃくろく)
■#d6e9ca
■白鼠(しろねず)
■#dcdddd
歌川国貞 江戸名所百人美女
洗柿(あらいがき)という肌色から今様色(いまよういろ)というビビットピンクへのグラデーション。色の繋がりも美しく、全体的に優しく柔らかな印象があります。
グラデーション
■洗柿(あらいがき)
■#f2c9ac
■珊瑚色(さんごいろ)
■#f5b1aa
■今様色(いまよういろ)
■#d0576b
葛飾北斎 お岩さん
暗めの百入茶(ももしおちゃ)から薄めの抹茶色へのグラデーション。奥にある百入茶(ももしおちゃ)がこの絵の奥行きを作り出し、手前のお岩さんにより大きな迫力を出しています。
グラデーション
■百入茶(ももしおちゃ)
■#1f3134
■青丹(あおに)
■#99ab4e
■抹茶色(まっちゃいろ)
■#c5c56a
歌川国芳 宮本武三四
黒(くろ)から練色(ねりいろ)へのグラデーション。地上の明るさと空の暗さが見事に表現されています。
グラデーション
■黒(くろ)
■#2b2b2b
■薄墨色(うすずみいろ)
■#a3a3a2
■練色(ねりいろ)
■#ede4cd
まだまだ、他にもグラデーションの素晴らしい浮世絵はたくさんあります。
これは今後も続けて行きたいと思います。
Leave your response!